突然ですが、「巾木・幅木(はばき)」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。
普段生活していく中で、聞きなじみのない言葉かもしれませんが、とても重要な役割を担っているものになります。そこで今回は、巾木・幅木とはそもそもどのようなものなのか、特徴や種類についてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
※以下の文章では、主に「巾木」の漢字を採用していきます。幅木から略して巾木という文字が使われていますが、建築関係では「巾木」が使われることが多いです。
巾木・幅木(はばき)とは
巾木とは、壁と床の境目に取り付ける部材のことを指します。およそ3〜10cm程度であることが多いため、普段はあまり意識しない方も多いかと思います。もう少し簡単にお伝えすると壁と床にできる隙間を隠し、見た目やデザインをきれいにしたり、おしゃれにしたりする役割をもっているのが巾木です。掃除の際などぶつけたり、汚したりすることで壁のクロス等が駄目になってしまうことがありますが、そのような状況から守るといった役割も存在しています。クロスや壁が汚れたり、駄目になってしまった場合は、全体を取り替える必要が出てくるため、工事費用が高くなってしまったり、工事期間が長くなってしまいます。しかし巾木があれば、その場所だけ取り替えることができるため、費用面や手間も省くことができます。それ以外の役割として、地震などが起きた際に緩衝材としての役割もあります。壁と床の間に巾木を入れることにより、うまく力を逃がすことができ、結果的に被害を小さく収めることができます。このように巾木は地味なものかもしれませんが、住宅や建物を支える上で、非常に重要な役割を担っているということがお分かりいただけたかと思います。
廻り縁との違い
廻り縁(まわりぶち)と読み、お部屋の中の天井の面と壁面の境目に取り付けられる枠を指し、天井に沿ってぐるりと一周囲っている材料の事を廻り縁と言います。巾木はフローリングなどの床との接合部に付けられますが、廻り縁は天井面との接合部に取り付けられます。店舗や家づくりの際に装飾としてデザイン面を考慮した廻り縁を選ばれる方もいらっしゃいます。
巾木の種類
次に巾木の種類についてご紹介をしていきます。巾木には大きく分けて2つのタイプがあり、木巾木とソフト巾木(ビニール巾木)になります。
木巾木
木巾木はその名の通り、木製の巾木になります。木巾木の特徴としては、しっかりとした厚みがあり、はがれることがなく、木目を見せることができる点が挙げられます。 木巾木の中央部分には溝があり、通常は接着剤と細い釘で固定します。この溝の目的は固定するときに釘頭を隠す(目立たない)といった役割があります。 そのほかにも床材などと同じ色や材料を使うことで部屋全体に統一感をもたせることができるという点もメリットといえるかもしれません。
ソフト巾木
ソフト巾木は、壁面と床面の見切りとして設置される樹脂製の巾木(塩化ビニルでできた化粧部材)を指します。ソフト巾木の特徴としては、薄くしなやかで簡単に曲げることができるという点になります。そのため、部屋の隅などに使われることがあります。また対策として、掃除機などをぶつけやすい角に付けて保護する樹脂キャップなども併用されることがあります。木巾木と比較して価格を低く抑えることが可能です。
巾木の素材
廻り縁や巾木に使用される建材は一般的に天然木や化粧シートを張ったMDF(中密度繊維板)などが多いです。化粧シートは色や柄を自由に作成することが可能であるため、単色など多彩なカラーや柄を選ぶことが可能な点もポイントの一つです。ビニール製のタイプもありますが、クッションフロアなど他の部分もビニールが利用されるケースが多いマンションや賃貸住宅でしかあまり使われません。
高さや厚みは、60mmや75mmなど設置する場所によって変わり、それに伴い木材や素材も変わってきたりするため、不明な点があれば専門の企業に相談いただくことをおすすめいたします。
まとめ
今回は、巾木とはそもそもどのようなものなのか、特徴や種類についてご紹介をしてきました。初め聞いたときは、なじみがないものだったかもしれませんが、内容を読んでいただくと巾木とはどのようなものかや建造物にとって非常に重要な役割を担っていることがお分かりいただけたかと思います。最近では、diyが流行してきていることもあり、自分で補修する方もいらっしゃいますが、特にコーナー部分など傷や凹み、色落ちがひどい場合は、専門の業者に依頼していただくことをおすすめいたします。